梅雨といえばジメジメとした空気に気分もどんよりしがちですが、実は魚にとっては「美味しい季節」のひとつでもあります。気温が上がりすぎず、水温も安定しているこの時期は、魚の脂の乗りや身の締まりがちょうどよく、まさに“旬”を迎える種類が豊富です。今回は、梅雨の時期にぜひ味わいたい魚と、そのおすすめの食べ方をご紹介します。
1. アジ(鯵)——さっぱりとした旨みが魅力
アジは春から初夏にかけてが旬で、梅雨の時期は脂の乗りがほどよく、身が柔らかすぎず、バランスの取れた美味しさを楽しめます。
おすすめの食べ方:アジのなめろう
アジの刺身を叩いて、味噌、しょうが、青ねぎ、大葉などの薬味と混ぜ合わせる「なめろう」は、暑さで食欲が落ちがちな梅雨時にもぴったりの一品です。冷たいご飯にのせて「なめろう丼」にするのもおすすめ。さらに、少し残しておいてお湯や出汁を注ぎ、「アジ茶漬け」にすると、しみじみとした旨味が味わえます。

2. カツオ(鰹)——戻りではない“初ガツオ”の魅力
カツオは年に2回旬があります。梅雨の時期は「初ガツオ」と呼ばれ、脂は控えめながらも力強い赤身の味が楽しめます。
おすすめの食べ方:カツオのたたき・薬味たっぷりで
新鮮なカツオは、皮付きのまま炙って「たたき」にすると風味がぐっと引き立ちます。スライスした玉ねぎ、大葉、ミョウガ、生姜、にんにくなどの薬味をたっぷりのせて、ポン酢や醤油でいただくのが定番。さっぱりとした味わいが、梅雨の湿気を吹き飛ばしてくれるような爽やかさです。

3. イサキ(鶏魚)——梅雨が最も美味しいタイミング
イサキはまさに「梅雨イサキ」と呼ばれるほど、この季節に脂が乗って美味しくなる魚です。白身で上品な味わいが特徴。
おすすめの食べ方:塩焼き or 昆布締め
新鮮なものはお刺身でも楽しめますが、塩焼きにすると脂の旨味が際立ち、皮目の香ばしさと絶妙にマッチします。もう一つのおすすめは「昆布締め」。薄く切ったイサキを昆布で数時間締めることで、旨味が凝縮され、日本酒にもよく合います。

4. キス(鱚)——初夏の上品な味わい
キスは春から初夏が旬で、梅雨時にも美味しくいただける白身魚。クセが少なく、上品な甘みがあります。
おすすめの食べ方:天ぷら
キスといえば、やはり「天ぷら」。衣は薄く、揚げすぎないのがポイントです。サクッと揚げたキスに、塩を少し振るだけで十分に美味しく、冷たいビールや冷酒との相性も抜群。大葉やししとうと一緒に盛り付ければ、見た目にも涼やかな一皿になります。

5. ハモ(鱧)——関西を中心に愛される高級魚
京都や大阪など関西地方では、梅雨から夏にかけて「ハモ」が旬を迎えます。小骨が多いため「骨切り」という独特の下処理が必要ですが、そのぶんプロの技が光る食材でもあります。
おすすめの食べ方:湯引き・梅肉添え
骨切りされたハモをさっと湯にくぐらせ、氷水で締めた「湯引き」は、見た目も涼やかで食感も上品。梅肉や酢味噌を添えると、淡白な中にもしっかりとした旨味が引き立ちます。夏の風物詩として、和食店でもよく登場する一品です。

梅雨の魚は、体調管理にもおすすめ
梅雨の時期は湿気や気温の変化により、体調を崩しやすくなる季節。そんな時こそ、栄養価が高く、消化も良い魚は理想的な食材です。特に青魚に含まれるDHAやEPAは、血流を良くし、免疫力の維持にも一役買ってくれます。
また、旬の魚はその時期に最も美味しく、栄養価も高いため、季節の変わり目に取り入れることで、自然と身体の調子も整いやすくなります。
まとめ
梅雨の時期に旬を迎える魚は、どれもその季節ならではの魅力があります。スーパーでも比較的手に入りやすいアジやカツオから、和食店で味わうハモまで、バリエーション豊かです。気分が落ち込みがちな梅雨こそ、旬の魚を食卓に取り入れて、食で季節を感じる楽しみを味わってみてはいかがでしょうか。