夏に旬を迎える魚と、おすすめの食べ方

夏は魚が美味しくない季節と思われがちですが、実は暑い時期にこそ旬を迎える魚もたくさんあります。身が締まり、脂の乗りがほどよく、さっぱりとした味わいが楽しめる夏の魚たちは、蒸し暑さで食欲が落ちがちな時期にぴったりの食材です。今回は、夏に旬を迎える代表的な魚5種類と、その美味しさを引き出すおすすめの食べ方をご紹介します。

1. シマアジ(縞鯵)──高級魚の贅沢な味わい

シマアジは、春から初夏にかけて脂が乗り始め、夏に最も美味しさがピークを迎える高級魚の一つです。名前に「アジ」とつきますが、通常のマアジよりも身がしっかりしており、上品な甘みとコクが特徴です。

おすすめの食べ方:お刺身・握り寿司

新鮮なシマアジは、ぜひお刺身で。その脂の旨みとコリコリとした食感は、まさに旬ならでは。軽く塩をふって炙りにしたり、寿司にすれば、さらに風味が引き立ちます。脂がくどくないため、暑い時期でもさっぱりと楽しめます。

シマアジの刺身

2. ハモ(鱧)──夏の京都を代表する風物詩

「梅雨に旬を迎える魚と、おすすめの食べ方」でも紹介させていただきましたが、ハモは夏も美味しくいただける魚です。
関西地方では「夏の味覚」として定番のハモ。梅雨から夏にかけて旬を迎え、小骨が多いものの、「骨切り」という職人技によって美味しく食べられる魚です。淡白な白身と上品な脂のバランスが特徴で、京料理には欠かせない存在です。

おすすめの食べ方:湯引き・天ぷら

ハモといえば、定番は「湯引き」。さっと湯通しして氷水で締めた身に、梅肉や酢味噌を添えるだけで、涼やかで品のある一皿に。骨切りが済んでいるハモは天ぷらにしても絶品。外はカリッと、中はふわっとした食感がクセになります。

ハモの天ぷら

3. スズキ(鱸)──淡白でクセのない白身魚

スズキは6月から8月にかけて旬を迎える魚で、「出世魚」としても知られています。大ぶりで見栄えが良く、クセのない白身が特徴。調理法を選ばず、さまざまな料理に合うため、家庭でも扱いやすい魚です。

おすすめの食べ方:カルパッチョ・ソテー

暑い日はスズキのカルパッチョがイチオシ。オリーブオイル、レモン汁、塩をかけて冷やすだけで、爽やかな前菜になります。また、皮目をパリッと焼いたソテーもおすすめ。香草バターソースとの相性も抜群です。

スズキのカルパッチョ

4. タチウオ(太刀魚)──銀色の美しい姿に旨みがぎっしり

夏から初秋にかけて脂が乗るタチウオ。細長く銀色に光る姿は印象的で、その見た目に違わぬ美味しさがあります。やわらかくも締まりのある身と、じゅわっと広がる脂の旨みが魅力です。

おすすめの食べ方:塩焼き・ムニエル

タチウオはシンプルな塩焼きが一番。脂が多いため、皮はパリッと、身はふっくらと焼き上がります。また、ムニエルにしても美味しく、フライパンで軽くソテーすれば洋風にもぴったり。骨が少なく食べやすいのも嬉しいポイントです。

太刀魚の塩焼き

5. キンキ(喜知次)──贅沢な脂と旨みの詰まった魚

北海道などの冷たい海で獲れるキンキは、実は夏にも旬を迎えます。小さな体に反して脂の乗りが非常に良く、焼いても煮ても身がふっくら。市場では高値で取引されることも多い高級魚です。

おすすめの食べ方:煮付け・塩焼き

キンキといえば、やはり「煮付け」。甘辛い醤油ベースの煮汁と絡めると、脂の旨みが溶け出し、ご飯が進む一品に。表面をパリッと焼き上げた塩焼きも人気で、口の中に広がる濃厚な味わいがたまりません。

キンキの煮付け

まとめ:夏こそ「旬の魚」で食卓を彩ろう

夏の魚は、脂が控えめであっさりと食べやすい種類が多く、蒸し暑い季節にぴったりの味覚です。旬の魚は栄養価も高く、体調を整えるうえでもおすすめ。シンプルな調理法でも素材の良さが引き立つので、ぜひ季節を感じる一皿を食卓に取り入れてみてください。